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No010:申請書等の作成方法(1)

 薬事職に限らないですが、厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) 、都道府県や第三者認証機関に医薬品(や医療機器)等に関する手続きの主な提出様式として申請書と届書(以下、申請書等)があり、申請書等の作成と提出は薬事職の業務の一つであると言えます。今回は申請書等の作成をテーマに紹介いたします。  申請書等はすべてFD(フレキシブルディスク)申請に基づいて作成しなければなりません。FD (フレキシブルディスク)はもうご存知ない人も多いかもしれませんが下の写真(フロッピーディスク及びフロッピーディスクドライブ)の通り、フレキシブルディスク=フロッピーディスクという古い磁気記録ディスクを意味します。  現在、運用しているシステムが未だにその名前ということが少し信じられないですが、調べた限りどうやら1997年には存在しているシステムのようです。また、手引きの書籍の記載例を見るとFDへ貼るラベル記載例が記されているため、少なくとも古くはFDが提出方法であったと思います。さすがに現在ではFD 以外のCD(やDVD)が使われることが多く、そしてオンラインによるWEB上での提出に切り替わりつつあります。しかし、昔から紙だけでなく記録媒体/オンラインを通して電子ファイルでも申請書等が提出が求められていたことは変わりません。むしろ全てではないですが紙での提出が現在では不要となってきています。従ってWEB上の説明や記載を見ると正確にはFD(フレキシブルディスク)だけに限定せずにFD(フレキシブルディスク)等と記載されていることが多いです。  そんな電子データで求められる申請書等の作成に必要な2つのソフトあるいはプラットフォームがあり、医薬品や医療機器等のカテゴリーに応じて、どちらかを利用します。  一つ目は医薬品等電子申請ソフトです。厚生労働省が管理する以下のWEBページからダウンロードすることができます。私は口頭では”申請ソフト”あるいは”FDソフト”と言うことが多いと思います。https://web.fd-shinsei.go.jp/index.html 詳細な動作環境は省略しますが、Windows OSのPCが必要となります。ダウンロードにあたって必要な資格や情報はないため動作環境さえ準備すれば誰でもダウンロードすることができます。現在では医薬品等電子申請ソフトは医薬品・医薬部外品・化粧品・体外診断用医薬品・再生医療等製品の承認・許可・認定・登録に関する申請書等の作成に使用できます。  二つ目が医療機器WEB申請プラットフォーム(DWAP:ディーワップ)です。2011年より医療機器を対象に上記FD 申請システムに替わる新たな電子申請 システムとして稼働したプラットフォームです。こちらもWindows OSのPCが動作環境として必要になります。DWAPページ:https://www.dwap.pmda.go.jp/dwap_shinpou/login/dwpMWK0010g_pmda.action IDやパスワードを入力することでログインして操作することができPMDAサーバーに電子データを送信することができます。残念ながら、こちらは医薬品医療機器等法に基づく許可を持つ業者向けのシステムになっており、アカウント申請時に業者コード等が必要となっております。 私はDWAPを使用したことがないのですが、使用した人曰く医薬品等電子申請ソフトには戻れないそうです(笑)。逆に言うと医薬品等電子申請ソフトは動きが遅いというか融通が利かないソフトであることは異論ないと思います。  今回はテーマ「申請書等の作成」第一弾として申請書等の作成に必要なソフトとプラットフォームを紹介しました。私が使い始めた頃は、何も知らなかった状態から薬事業務の必要に迫られて準備・使用しましたが、今回記事にするにあたって調べてみると長い歴史があるとつくづく思います。FD申請システムも長期運用してきたシステムですが、聞いた話では厚労省あるいはPMDAにDWAPのような新規システムを取り入れる予定はないそうですので令和の時代もFD(等)申請(等)で引き続き業務に励んでいきます。 次の記事 No011:申請書等の作成方法(2)

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No 005: 薬事初心者へのススメ(メール配信サービス編)

 今回は、薬事を目指す人や将来、薬事になりたい人に向けて役立つ情報をご紹介していきたいと思います。薬事職として実際に働いている人にとっては当たり前のことでも、薬事未経験の人にはわからないことも多いと思います。 今回は、誰でもとは言えないですが医薬品等の企業に勤める人の多くが利用できる以下のメール配信サービスをご紹介します。 PRAISE-MAIL(PRAISE-NET)https://praise-net.jp/index.htm  PRAISE-NETは日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、東京医薬品工業協会、関西医薬品協会の4業界団体が共同利用するインターネット及びコンピュータシステムです。そしてPRAISE-NETが提供するメール配信サービスがPRAISE-MAILです。このメール配信サービスは東京医薬品工業協会及び関西医薬品協会に所属する会員会社が利用できます。したがって、登録されている会員会社のメールドメインを持っていれば自分でメールアドレスを登録してサービスを利用することができます。東京医薬品工業協会は医薬品製造販売業者及び医薬品製造業者のみが会員ですが関西医薬品協会にはCRO含めて比較的多くの企業が会員として参加しているので、ご自身の企業がどちらかの団体に加入していれば利用することができます。  PRAISE-MAILでメール配信される内容は主に医薬品、医療機器、再生医療等製品、化粧品等に関する行政通知やガイダンスなどで、かなりタイムリーに配信されます。昔、CRAとして働いていたときに上司や一部の社員はどのように最新のGCPについて情報を得ていたのか疑問でしたが、GCP の改正についてもPRAISE-MAIL で配信されるため臨床開発に関わっている人達もPRAISE-MAILを利用しているのではないかと思います。臨床開発職に限らず、さまざまな部署の方が利用されていると思います。  PRAISE-MAILを利用することで最新の通知について何もせずとも連絡を受けることができるということは自分で逐一調べて情報を入手する手間を考えると計り知れない恩恵だと思います。一方で配信される情報範囲が広く、毎日3回くらい配信されますのでチェックし続けるだけでも一苦労になります。関係のない情報も多い中で自分自身に必要な情報を漏れなく押さえていくことが薬事(に限らずメール受信者)に求められます。大きな企業であれば、PRAISE-MAILを取りまとめる担当の方もいらっしゃるかと思いますが、基本的には自身の業務に係る通知やガイダンスは自分で見落とさない必要があると思っています。  ということで、利用できる企業に勤務していれば登録するだけで簡単に利用できるサービスなので、利用できる方はぜひ利用することをお勧めします。薬事や臨床開発に限らず広く配信を受けられる一方で自分自身で常に取捨選択して目を通す必要があるため、活用するためにはそれなりに時間を取られるものであることを覚悟する必要があります。

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No 003:薬事の種類と業務について (医療用医薬品)

 こんにちは、ペンギンです。今回は、医療用医薬品の薬事の業務について紹介したいと思います。医療用医薬品以外の薬事においても基本的な業務内容は等しく当てはまるのではないかと考えます。今回は転職サイトや求人で募集されている薬事ポジションに分けてどのような業務かについてざっくりと説明するとともにそれぞれの関係性についても触れていきたいと思います。 医療用医薬品の薬事業務について  薬事の業務とは何かと考えたときに一概に答えることはできませんが、私が臨床開発職に従事していたときには薬事の業務について以下のようなイメージを持っていました。 申請に関わる業務 PMDAとの相談に関わる業務 臨床開発だけでなく製造や販売の他部署をまとめる業務  実際に薬事職として従事してみると、もともとのイメージ通りであったこともあればイメージ通りではない部分もありました。特に面白いポイントは企業によって薬事の業務範囲が異なるというところです。薬事の業務はMRのように認定を受ける必要もなければ薬剤師の資格の取得が必須でもありません。従って、薬事の業務に明確な線引きはないと考えています。例えば、大手企業であれば品目も多く膨大な業務を細分化する必要がありポジションが増えることはみなさま納得できると思います。そして、中小企業では品目が少ない一方で一人一人の薬事担当者が幅広く業務を担うことが予想されます。一方で、企業規模とは別に初回申請や戦略をどの部署が請け負うかという違いもあります。例えば企業によっては(臨床)開発の部署で初回申請や戦略を担うそうです。従って薬事に関する手順を習得し、対応できる能力を持つ担当者がいずれかの部署にいれば薬事部である必要はないと私は考えています。実際には、特定の人に業務が過度に集中してしまいますので推奨されませんが… 薬事(医療用医薬品)の種類  医療用医薬品の薬事ポジションは以下の5つについて分かれて募集されていると見受けられます。特に開発薬事、薬制薬事、CMC薬事の3つは代表的な薬事ポジションだと思っています。ただし企業規模や取り扱い品目によってはポジションが加わったり、逆に一つのポジションにまとめられていたりします。企業によって人数も括りも異なることを前提に各ポジションについて述べていきます。 開発薬事  開発薬事は医薬品のライフサイクルが生み出されるまでの最初にして最重要な”申請〜承認”段階を担う薬事となります。開発薬事の求人は新医薬品を扱う企業で募集され、多くの場合、以下の知識や経験が求められます。  どの求人でも比較的同様の内容が書かれていますが、経験や知識量は各社の開発を進める品目あるいは領域に対して高いレベルで求められ、責任を持って対応できるようになるまで経験を積み上げる道のりは長いです。また、上記以外で求められる業務について例を挙げますと添付文書案の作成や外国製造業者認定申請、薬価基準収載手続きまで担う場合もあります。(大企業では特に)各役割に担当者がそれぞれにいる場合もありますが申請書類をまとめていく過程で薬事がレビューや取りまとめをすることが多く、また全体を通して薬機法や薬事関連法令を遵守しているか監視する必要があります。結果として安全性、薬物動態、海外での使用状況を含めて広く相当の知識が求められるとともに他部署との連携が強く求められます。  上記に列記した知識や経験は上から順に高度な項目にあたると考えます。特に戦略の策定とともに開発薬事で重要な業務が厚労省やPMDAとの対応、交渉となります。厚労省やPMDAとの対応・交渉については照会(問い合わせ)に対して回答して品質、有効性や安全性に問題ないことを説明・証明していきます。時間が限られる中で膨大な情報を整理して、柔軟な思考で厚労省やPMDAの指摘や疑義事項に対処が求められます。特に新医薬品では想定外の事態も起こり得ますので他部署とも連携して最善の対応を導くことが必要です。 薬制薬事  薬制薬事は他の薬事職と比べると業務の幅が広いです。 一つ目として主に承認取得した後に販売する品目を扱います(企業によっては薬事申請業務に関わるせいか新薬承認申請の業務も担っているようです)。具体的には承認を得た承認申請書に関わる変更管理(軽微変更届や一部変更承認申請など)を担います。計画的な変更もあれば突発的な変更も起こり得ますので計画を立てるだけでなく、急な変更を事前に見逃さないように監視する必要があります。製造販売元である医薬品全て管理する責任があるため市場に多く出回っている品目が多いほど対応する業務も多くなります。変更管理の業務は製法・工程変更,試験法変更などの製造所に関する変更が多いことから一部変更承認申請に伴ってGMP 適合性調査に関係する機会もあり、品質管理/品質保証部門やCMC薬事との連携頻度も多いです。 二つ目として製造販売業、製造業、卸売販売業などの業態管理を担います。定期的に更新が必要であり取り扱う数量も多いです。まずないとは思いますが対応を疎かにすれば業務停止になりますので責任も大きいです。また品質保証部門としてGMP適合性調査対応を担う場合もあるようです。 三つ目は、プロモーション活動の薬事的なレビュー及び支援です。薬事規制に沿う必要があります。  以上の幅広い業務に加えて添付文書の作成を担う場合もあり、その業務の幅広さから会社によって薬制の範囲が大きく異なるのではないかと思います。 CMC薬事  CMC薬事は上記の開発薬事と薬制薬事と比べて製造や品質に強く係る薬事となります。薬事と名はつきますが薬事部ではなくCMCに関する部署であったり工場や研究センターに所属している場合もあります。CMC とは「Chemistry(化学)」「Manufacturing(製造)」「Control(管理)」のそれぞれの頭文字を取った略で、原薬及び製剤の製造方法、製造工程、規格及び試験法、安定性および物理化学的特性から原薬の製造スケールアップ時のロット分析などを取りまとめ、最終的にCTD[…]

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No 001:開設にあたり

こんにちは、ペンギンと申します。 CROの開発職で仕事をスタートして現在は薬事職として勤務しています。 開発から薬事についての業務を自分なりに整理して、かつ情報発信や情報共有ができればと思い当ブログを開設しました。 当ブログでは以下の点を中心に更新していきたいと考えています。 1.医薬品・医療機器開発及び製薬・医療機器会社における薬事業務について 2.薬事に必要なツール、書籍 3.キャリアの話 4.薬事に関する最新の情報、気になる情報について 5.私の薬事業務の近況 6.医薬品業界関連ニュース 7.その他 私も薬事の中の一人ですし私自身まだ学ぶべきことが多い中で情報をひとつひとつ整理しながら更新できたらと思います。 一方で、とりあえず掲載して、後から修正加えていくことも多いかと思います。 間違っている場合はご遠慮なくご指摘頂けますと有り難いです。 またご要望があれば聞いていきたいと思いますのでお問い合わせまでよろしくお願いいたします。

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