Penguin Pharma

No 003:薬事の種類と業務について (医療用医薬品)

 こんにちは、ペンギンです。今回は、医療用医薬品の薬事の業務について紹介したいと思います。医療用医薬品以外の薬事においても基本的な業務内容は等しく当てはまるのではないかと考えます。今回は転職サイトや求人で募集されている薬事ポジションに分けてどのような業務かについてざっくりと説明するとともにそれぞれの関係性についても触れていきたいと思います。 医療用医薬品の薬事業務について  薬事の業務とは何かと考えたときに一概に答えることはできませんが、私が臨床開発職に従事していたときには薬事の業務について以下のようなイメージを持っていました。 申請に関わる業務 PMDAとの相談に関わる業務 臨床開発だけでなく製造や販売の他部署をまとめる業務  実際に薬事職として従事してみると、もともとのイメージ通りであったこともあればイメージ通りではない部分もありました。特に面白いポイントは企業によって薬事の業務範囲が異なるというところです。薬事の業務はMRのように認定を受ける必要もなければ薬剤師の資格の取得が必須でもありません。従って、薬事の業務に明確な線引きはないと考えています。例えば、大手企業であれば品目も多く膨大な業務を細分化する必要がありポジションが増えることはみなさま納得できると思います。そして、中小企業では品目が少ない一方で一人一人の薬事担当者が幅広く業務を担うことが予想されます。一方で、企業規模とは別に初回申請や戦略をどの部署が請け負うかという違いもあります。例えば企業によっては(臨床)開発の部署で初回申請や戦略を担うそうです。従って薬事に関する手順を習得し、対応できる能力を持つ担当者がいずれかの部署にいれば薬事部である必要はないと私は考えています。実際には、特定の人に業務が過度に集中してしまいますので推奨されませんが… 薬事(医療用医薬品)の種類  医療用医薬品の薬事ポジションは以下の5つについて分かれて募集されていると見受けられます。特に開発薬事、薬制薬事、CMC薬事の3つは代表的な薬事ポジションだと思っています。ただし企業規模や取り扱い品目によってはポジションが加わったり、逆に一つのポジションにまとめられていたりします。企業によって人数も括りも異なることを前提に各ポジションについて述べていきます。 開発薬事  開発薬事は医薬品のライフサイクルが生み出されるまでの最初にして最重要な”申請〜承認”段階を担う薬事となります。開発薬事の求人は新医薬品を扱う企業で募集され、多くの場合、以下の知識や経験が求められます。  どの求人でも比較的同様の内容が書かれていますが、経験や知識量は各社の開発を進める品目あるいは領域に対して高いレベルで求められ、責任を持って対応できるようになるまで経験を積み上げる道のりは長いです。また、上記以外で求められる業務について例を挙げますと添付文書案の作成や外国製造業者認定申請、薬価基準収載手続きまで担う場合もあります。(大企業では特に)各役割に担当者がそれぞれにいる場合もありますが申請書類をまとめていく過程で薬事がレビューや取りまとめをすることが多く、また全体を通して薬機法や薬事関連法令を遵守しているか監視する必要があります。結果として安全性、薬物動態、海外での使用状況を含めて広く相当の知識が求められるとともに他部署との連携が強く求められます。  上記に列記した知識や経験は上から順に高度な項目にあたると考えます。特に戦略の策定とともに開発薬事で重要な業務が厚労省やPMDAとの対応、交渉となります。厚労省やPMDAとの対応・交渉については照会(問い合わせ)に対して回答して品質、有効性や安全性に問題ないことを説明・証明していきます。時間が限られる中で膨大な情報を整理して、柔軟な思考で厚労省やPMDAの指摘や疑義事項に対処が求められます。特に新医薬品では想定外の事態も起こり得ますので他部署とも連携して最善の対応を導くことが必要です。 薬制薬事  薬制薬事は他の薬事職と比べると業務の幅が広いです。 一つ目として主に承認取得した後に販売する品目を扱います(企業によっては薬事申請業務に関わるせいか新薬承認申請の業務も担っているようです)。具体的には承認を得た承認申請書に関わる変更管理(軽微変更届や一部変更承認申請など)を担います。計画的な変更もあれば突発的な変更も起こり得ますので計画を立てるだけでなく、急な変更を事前に見逃さないように監視する必要があります。製造販売元である医薬品全て管理する責任があるため市場に多く出回っている品目が多いほど対応する業務も多くなります。変更管理の業務は製法・工程変更,試験法変更などの製造所に関する変更が多いことから一部変更承認申請に伴ってGMP 適合性調査に関係する機会もあり、品質管理/品質保証部門やCMC薬事との連携頻度も多いです。 二つ目として製造販売業、製造業、卸売販売業などの業態管理を担います。定期的に更新が必要であり取り扱う数量も多いです。まずないとは思いますが対応を疎かにすれば業務停止になりますので責任も大きいです。また品質保証部門としてGMP適合性調査対応を担う場合もあるようです。 三つ目は、プロモーション活動の薬事的なレビュー及び支援です。薬事規制に沿う必要があります。  以上の幅広い業務に加えて添付文書の作成を担う場合もあり、その業務の幅広さから会社によって薬制の範囲が大きく異なるのではないかと思います。 CMC薬事  CMC薬事は上記の開発薬事と薬制薬事と比べて製造や品質に強く係る薬事となります。薬事と名はつきますが薬事部ではなくCMCに関する部署であったり工場や研究センターに所属している場合もあります。CMC とは「Chemistry(化学)」「Manufacturing(製造)」「Control(管理)」のそれぞれの頭文字を取った略で、原薬及び製剤の製造方法、製造工程、規格及び試験法、安定性および物理化学的特性から原薬の製造スケールアップ時のロット分析などを取りまとめ、最終的にCTD[…]

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