No009:いまさら聞けない薬機法と法体系について

Last Updated on 2023年1月15日

 薬事の業務に携わる上で医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)を空覚えする必要はないと思いますが、少なくとも他の通知や省令との関係を把握しておく必要があります。
 もともと臨床開発からスタートした私は会社で”医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)”とICH-GCPがあって、薬機法(当時は薬事法)がGCPの上位にあることぐらいしか把握していなかったのですが、薬事の業務に就くことになり社内外問わず仕事の一つとして薬機法を整理する機会がありました。そういった機会において私が直面して混乱した薬機法の”法”(と”施行令”)と”施行規則”の違いについてご紹介したいと思います。
 薬機法の正式名称は”医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律”なのですがWEB上で検索するとよく下の2つの法律及び施行規則が結果として表示されていました。

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則

 並べるともちろん全く違うのですが共に91条および288条もあるのでe-govで開いてPC画面いっぱいに条文が並ぶと一瞬どちらを開いたかかわからなくなります。「薬の法律は”薬機法”」ぐらいの知識で画面を開くとすぐ迷子になってしまいます。同じ◯◯条を開いたつもりなのに全く違うことが書いてあるとわかったときには背筋が冷えます。

 どのように違うかについて制定元を分けて薬機法に関する法体系について下の図にまとめました。 

参考書籍:理工系の基礎 薬学 (著作者:薬学 編集委員会、平成30年3月31日発行)

 上から順に憲法→法律→政令(施行令)→省令(施行規則)の順に構成されており、基本的には下位に制定されている政令や省令で細かい内容について述べられています。特に普段から法〜省令について取り扱っている薬事関係者は赤字で書いている”法(ほう)”,”施行令(せこうれい)”,”施行規則(せこうきそく)”の略称で呼び分けています。施行令については私自身が過去に取り扱う機会はありませんでしたが、機会が少ないほど逆に見落としやすい部分でもあります。
 法律,政令,省令の関係は薬機法以外にも当てはまる関係のため他の法律を見たときにも参考になると思います。また法律,政令,省令以外にも条例や細則、そして国間の条約についても遵守が求められたり、あるいは逆に利用することができます。非薬学部卒の身としては、薬学部に通っていたら大学で習っていたかもしれないなと思うところです(大学の座学で聞いても馬の耳に念仏だったかもしれませんが…)。

リンク先(e-gov)

各種省令(GxP)に関する以下の記事も是非ご覧ください。

No 007:GxPについて

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